デラシネ

d e racin e

d e racin e

 なんだか肩が少し重くて、だるくて。どうしようもない日々は人間にはやっぱりあるわけで。結局それをうけとめて人は何かしら生きている。グレイプバインの音楽って、そんな時にマッチする。
 そんな日常で起こる、「これはおかしいだろ」ってことにも田中和将はなぁなぁでないんだ。そこを的確なシニカルさで表現する。痒いところをしっかりかいているんだけど、なんだかすごくくすぐったくて、何ともいえない快感。今回のアルバムはその色が職人的な濃さなんだ。アルバムの構成といい、曲そのものといい、田中和将の声といい。「少年」「VIRUS」の並びなんて犯罪的な狂おしさです。
 さらっと聴くと気付かないんだけど、一度気付いてしまうと離れられない。
 結局私がグレイプから離れられなかった理由と同じってどういうことさ。「退屈の花」もこのような感情が聴いた後になんともいえない感触を残す。だけど、その時よりは濃度は濃くないかもしれなくて、けど、あの時よりはもっと色んな経験をしてきて、アプローチだのなんだの、またやたらと手がこんできて職人に近くなってるのが今回の「デラシネ」なんじゃないかと。
 ただこのジャケットはどうかと思う(爆死)